演出は神である!

劇団十夢の演出です。
芝居を作る上での苦労話や映画・演劇を観た感想などを独断と偏見にまみれて書いていこうと思います。
(映画は★10点満点で採点してます)
どなた様もお気軽にコメントください。

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2009.07.02 Thursday

ザ・マジックアワー

神の採点:★★★★★


もし、オイラが映画監督になり1本撮れることになったとして・・・

このジャンルだけは絶対に「やらない」というジャンルがあります。

それは、



コメディーです。



オイラ、映画で笑いは取れないと思っています。
いえ、厳密に言うと「緊張と緩和」による「笑えるシーン」は1本につき2〜3箇所作ることは出来るかもしれません。
でも短くて90分くらいの映画で2、3箇所しか笑える箇所の無い映画を「コメディー」とは言わんでしょ?
(まぁ、コメディー映画=笑いという考えはいささか極端すぎるかもしれないが)

でも、それ以上は絶対無理。
120分の映画でも4箇所も笑えるシーンなんか作れるわけありません。
映画というジャンルは「笑い」というものに対して不向きなのです。
これが演劇であれば120分で12〜15箇所は笑える芝居を作る自信がありますよ。
10分に1回笑えれば充分コメディーとして成功かな、と思います。

数多く映画は見てきましたが、コメディー映画で笑えたためしがありません。
ジャッキー映画の方がまだ笑えたような気がします。
理由は他人を説得できるだけの言葉をまだ持っていないのでここでは書けませんが、「間」というか、「空気」というか、「映像」というか、「編集」というか、「テンポ」というか、そういったものが笑いを生み出せない原因になっている気がするのです。
いつになるか分りませんが、明確な説明・説得できる言葉をみつけたら書きます。

で、

本作もやはりコメディーとしては「?」です。
でも笑えた箇所が2箇所ありました。
「コメディー映画」と銘打っている映画を見て笑える箇所が2箇所もあったんです。
それを評価しての星5つです。
ですので、正直、映画としての価値は星5つ分もありません。
「笑える箇所があった」という価値を省いて評価すると星3つが良いところではないでしょうか。
世間一般では結構評判が良かったようですね。
それはそれで一向に構わないのですが「それはキチンと自分で感じた評価か?」という疑わしさはあります。
「三谷幸喜の作品は面白い」というセルフマインドコントロールから下した評価ではなかったか。
各種宣伝に乗せられて「面白そうな作品」をそのまま「面白い作品」にしてしまってはいないか。
「三谷幸喜」というブランドが確立してしまっているので自分の気持ちに感じたままの感想かどうか疑問なのです。



さてさて、では何がいけなかったのか・・・・。



まずはシナリオですね。
脚本のクオリティの高さには定評のある三谷幸喜ですが、今回の作品は「えぇ!?」です。
忙しかったのか、情熱がなかったのか、急かされたのか事情は分りませんがヒドイ。
オイラはDVDで見たのでまだ許せるが、これ映画館で1,000円以上出した人怒るんじゃない?
コメディ路線の脚本なのでリアリティを追求する必要は無いが、



「動機」を追及する必要は絶対にある!



動機を疎かにすることが一番ストーリーをつまらなくさせる原因だからだ。



WHY(なぜ)?



が伝わらないストーリーほどつまらないものは無い。

で、本作である。
この物語は「マフィアのボスの女」と寝た男が、死にたくないので苦し紛れについた嘘から一人の売れない男優を殺し屋に仕立てあげる、というものである。
ここまでは皆理解できるよね?
そらそうだ。
オイラだって死にたくないから嘘つきますよ。
充分同意できます。
で、
マフィア側の「あえりえない解釈」や「偶然・誤解」により男優はマフィアのボスに自分が殺し屋であることを信じさせることが出来ます。

(ちょっと蛇足)
ここのシーンのリアリティの無さはオイラは別に”良い”と思っています。
ここで「マフィアのボスがこんな簡単に騙されるわけがない!」などと言うほどヤボではありません。
ここでそんな突っ込みはヤボというものです。
映画の「楽しみ方」を知らない証拠です。
そこまでリアリティを追求するならドキュメントだけ見なさい。
もしくは100%リアリティを必要としないTVのバラエティ番組を見ておきなさい。
↓読み辛くてスミマセン。以下本題に戻ります。

そう、信じさせることが出来るのです。
で、ボスから言われます。

ボス「ありがとう。もういいよ。」

さて皆さん。
上記のボスのセリフを聞いたアナタならどうしますか?

オイラなら、


町を出ます。(ノ°▽°)ノ



そりゃそうです。
死にたくないから嘘をついて一世一代の大芝居を打ったんですよ?
そしてボスに信じさせ「もういいよ」という言葉をもらったんです。
そりゃ逃げますって!
逃げなきゃおかしいですって!!!!



でも妻夫木君、逃げません。



WHY?


死にたくなかったんじゃないの?
「村田さん(佐藤)を放っておけない」的なことを言っていたような、いないような・・・・。
言ってたとしたら、



連れて来たのお前だろ!!(`m´#)



です。
言っていなかったとしたら・・・・・謎です。
もしかしたら「もういいよ」というのは妻夫木君と深津さんの仲を認めたということか?

いや、それはないだろ・・・。

だとしたら何故町に留まる、妻夫木よ!?
この町に留まる動機が見えないのでこの後のストーリーが面白くないのです。
ちょっと考えれば更に面白くなりそうな展開はいくらでもあります。

例えば、逃げる妻夫木君と深津さん。
しかし、敵対する組織に捕まる2人。
逃げる為に更なる嘘を付く。
そしてその嘘が元で2つの組織の抗争が激しくなる。
事情を全く知らない村田(佐藤)は2つの組織を平気な顔で行き来する、みたいな。

この方が妻夫木君と深津さんが町に居る必然が高いです。
嘘に嘘を重ねることによってドタバタにも拍車がかかります。
そういうストーリを組み立てるのは三谷幸喜の得意とするトコロだと思うんですけどね。
折角敵対する組織を登場させておきながらソッチは全然イジらず終わってしまうので残念です。



”脚本のクオリティの低さ”



これが本作の「駄目」な一番の理由です。
コメディと銘打ってるので狙っている訳ではないだろうが心に残りません。
完全に「消費する映画」です。


更に併せて配役に疑問があります。
オイラが「この役合わないんじゃない?」と思ったのは2人。
ギャングのボス役の「西田敏行」とその女役「深津絵里」です。

西田敏行は顔立ちが良い人っぽいので(いや、実際に良い人なのだろうが)ちょっとでもギャグ路線に走るとギャングのボスとしての威厳がなくなってしまう。
黙って相手を睨んでるだけなら迫力はあると思うんですけどね。
ラストの方、照明が当たってなんだかオカマちゃんのように駆け出しますが「まぁ、西田敏行ならそうだろうな」という目で見ちゃうんですよね。
恰幅が良くて、威厳が合って怖い人がこの役やるから面白味が出ると思うんだが、西田敏行がやるとイメージ付いちゃうんですよね。

深津絵里は女優の中では珍しく好きな役者さんなんですが、この役は合わない。
この人は絶対男を振り回す役は出来ないと思いますよ。
振り回される方が合ってる。


後は・・・この映画、



長い。( ̄△ ̄)



もちっと短くならんかね。
いらんシーンが何箇所かあるので、カットして110分くらいにしたらもう少しテンポがあって良かったんじゃないかと思います。
役者使いすぎじゃない?


最後に、
三谷幸喜の脚本をよくパクリとかやりすぎなオマージュと言う人がいます。
確かにいろんな作品の良いところを集めて脚本を書いていることもあるかもしれません。パクリと言うのかオマージュと言うのかは見た人個人の判断でしょうけど。
でも、それでもオイラは三谷幸喜という人物は才能があると思っています。
それは例えば料理です。
おいしい食材を美味しく調理できるか、その料理人の個性を出しているかがポイントです。
ラーメン、ドリア、焼そば、これらだって誰かが作り出したものです。
しかし、料理人の腕によって全然違う味、違う見た目になります。
レシピをまるまるパクッたら料理人失格でしょうけど。
脚本も同じネタでも書き方によって印象や面白いポイントが変わってきます。
そこをどう自分流にアレンジするか、脚本家の腕の見せ所なのではないでしょうか。
そういう部分では三谷幸喜は間違いなく才能があると思うのです。


そういうことも含めて考えると「著作権」というのは中々に難しい問題ですね。
死人が生き返る映画を撮ったら全部が全部「ゾンビのパクリじゃん!」てな話になるとつまらないでしょ?


ザ・マジックアワー
時間:136分
出演:佐藤浩市、妻夫木聡
監督:三谷幸喜

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