演出は神である!

劇団十夢の演出です。
芝居を作る上での苦労話や映画・演劇を観た感想などを独断と偏見にまみれて書いていこうと思います。
(映画は★10点満点で採点してます)
どなた様もお気軽にコメントください。

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2010.01.11 Monday

私の頭の中の消しゴム

神の採点:★★★

この映画の原作は2001年に日本で放送された「Pure Soul 〜君が僕を忘れても〜」なのらしい。
映画の中でもテロップでそのように紹介されている。
これは正式なリメイクだったのかは分からないが、少なくとも本作の中で使用されている主題曲は正式なカヴァーではなかった為、後々になって謝罪があったらしい。
しかも、この原曲は「Pure Soul」で使用されていた曲ではなく、他のドラマで使用されていた曲である。
(曲の詳細についてはWikiなどで検索して調べてください。)

リメイクした作品に、他の作品の曲をカヴァーして主題歌として使う。

 


無しだろ。。。 ( ̄△ ̄;)

 


いや、リメイクやカヴァーを否定するつもりはありません。
気に入った脚本を自分なりに監督してみたい、演じてみたい、大いに結構です。
気に入った曲を自分なりに歌ってみたい、大いに結構です。
でも、その二つを一緒にしたら流石にイカンと思うんですよね。
寄せ鍋じゃないんだから、もっとオリジナリティを大切にしましょうよ。
それだけのスタッフや役者が揃っているはずですから。

作品自体の感想より、背景的な部分で否定的な気持ちになってしまいました。
「生みの苦しみ」っていうのは本当にシンドイんですけどね。
でも、その先に「生んだ者」にしか味わえない喜びがあるのですから、苦しむ価値は充分にあると思っています。

 

さて、
では本編はどうだったのか?

まぁ、


感想は


「う〜ん」です。

 

いまいち入り込めないというか、伝わらないというか・・・。
作品内で表現していることが表層的なので、訴えかけるものが無いなのです。
扱っているテーマは“若年性アルツハイマー”という重いテーマなのですが「綺麗ごと」だけで終わってしまっています。
介護の苦労や苦しみって、そんなもんじゃないでしょ?
愛する相手に苦労をかけてしまう苦しみって、そんなもんじゃないでしょ?
と思うのです。

いえ、最初は確かにそんなものかもしれません。
綺麗ごとなのかもしれません。
アルツハイマーがそんなに進行していない段階なら、自己犠牲を愛で伝えることが出来ます。
そして、その愛を素直に受け止めることが出来るかもしれません。
だってそこまでの「介護」を必要としていないから。

この段階なら恋人や妻が”ちょっと体調が悪くなって風邪をひいたレベル”です。
だから介護は必要ありません。
でも、もしそのレベルになったら・・・。
介護には「覚悟」と「決心」と「根気」が必要なのです。

介護に必要なのは「愛」ではありません。

 

「覚悟」と「決心」と「根気」です。

 

この3つが介護を続ける為に必要不可欠なものです。
人間に対する大きな愛は必要かもしれませんが、少なくとも「恋愛」なんぞで介護を続けるには動機不十分と言わざるを得ません。
介護資格を持ち、介護に従事している人が、

「身内の介護はやれない」

という話は良く耳にします。
その言葉の意味は勿論、人ぞれぞれの理由だと思いますが、

 


介護を、

 

し続ける、

 

には、綺麗ごとだけでは済まされない、それこそ多くの身を切るような「選択」をしなければならないのです。
しかし、この映画の中ではそれほど身を切るような選択をしているようには見えませんでした。
唯一あったとすれば、妻であるスジンがこれ以上旦那を傷つけたくないからと、家を出て行くシーンでしょうか。
(正確には置手紙があるだけだが)

それ以外では旦那のチョルスはこの病気のことをよく勉強せずに「面倒を見る!」の一点張りだし、

スジンの親はまだそこまで悪くなってないスジンを「施設に入れる!」の一点張りだし、

 


協力し合えないの、おたくら? ( ̄ω ̄;)

 


スジンが納得いくように、今後どう生活していくか皆で考えればいいじゃない。
全員が全員、スジンのことを心配しているようで、実は自分勝手な方法を押し付けているだけのような気がして、更にそれが全部「綺麗ごと」なものだから少々引いてしまいました(笑)


物語の出だしは良かったのになぁ・・・。

流れは少々使い古した少女マンガの王道のようですが、使い古したとはいえ王道には王道の良さがあり、出会いから2人が結ばれるまでが丁寧に描かれていたと思います。
ただ、丁寧に描きすぎていて、全体の半分も使ってしまいました。
だもんで、それからの展開が速いこと速いこと。

こういう作品は、自分の生活に違和感を感じ始め、徐々に自分が壊れていくことが分かり、悩み・苦しむから説得力があるものです。
前半部分からスジンは物忘れが激しいので、これが病気の序章なのか、天然なのか分からないんですよね。
このキャラ設定おかしいでしょ。
普段はしっかり者でいいじゃん。。。

 

ラストのコンビニのシーンも分からん。


あんなことやられたら、

 

もっと記憶混乱しない? (@O@)

 

何がしたかったのだろう・・・。
この辺のトコロはドラマよりも時間的制限のある映画の方が不利ですね。
でも折角結婚までを丁寧に作ってるんだから後30分でもいいから延長して病気の進行を描いていればもっと評価も違ったかなぁと思います。

ま、どんなに丁寧に作っても納得出来ない箇所もあるけど。
それは2点。

まず1個目。
チョルスの性格。
基本的に粗野だけど心は優しいという性格は出ていたように思えますが、スジンがひったくりに遭い、それを助けるシーン。

 


お前は何者なんだ!? Σ( ̄ロ ̄lll)

 

というくらいの無駄の無い動き。
大事故を起こしながらも薄ら笑いって・・・。

また、スジンの元彼を殴るシーン。

 

やりすぎ。

 

どう考えてもやりすぎ。
殴られた後の元彼のセリフも意味分からん。
何故に挑発的なことを言うの?
このシーンは本当に冷めた。


そして最大に冷めたシーンは、スジンが診察を受けるシーン。
冷めたというよりも、腹が立った。


アルツハイマーの研究一筋で、自分の妻もこの病気で亡くしている病院の先生。
タバコを吸って診察です。

 


ふざけるな!!! ( ̄△ ̄#)



発症済みだから良いとでも言うのか!!??
そういう問題ではない。
アルツハイマーのことを説明しながらタバコを吸うとは・・・。
考えられません。

一応書いておきますが、タバコは吸っている人は勿論、その煙を吸ってしまう人も有毒物質の影響を受け、アルツハイマーの発症率が高まります。
アルツハイマーの研究一筋の医者なら知っていて当たり前です。


こういうトコロで作品に対する真剣度が分かるんですよね。
この作品、痛いトコロも多いけど、決して悪くない作品だと思います。
でも、
このタバコのシーンだけは絶対に許せない。

作品作りを舐めるな、と言いたい。



私の頭の中の消しゴム
時間:117分
出演:チョン・ウソン、イ・ジェハン
監督:イ・ジェハン


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