演出は神である!

劇団十夢の演出です。
芝居を作る上での苦労話や映画・演劇を観た感想などを独断と偏見にまみれて書いていこうと思います。
(映画は★10点満点で採点してます)
どなた様もお気軽にコメントください。

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2010.04.06 Tuesday

13/ザメッティ

神の採点:★★★★


総じてしまうと、



おしい



映画です。

名作になる要素は数多くあるのに「何か」が足りない為にいまいち突き抜けきれないといった感じ。
この作品を見た殆どの人が思うことでしょう。

設定はいいのに・・・と。

そう、設定はいいのです。
集団ロシアンルーレット。
作家だっからこれだけでご飯が何杯でも食べられそうです。
良い食材です。
しかし、本作品は素材を活かしきれていない。
「設定はいい」のだが、逆に言えば「設定しか観るものがない」とも言えます。
笑える、泣ける、感動する、表現はいろいろありますが、全部含めて「面白い話」とした時、



面白い話を作る条件は何か?



オイラはこれを達成させるには、3つの項目をクリアする必要があると思っています。

まず「設定」。
テーマと言い換えても良いでしょう。
シチュエーションと言い換えても良いでしょう。
先の料理で例えた通り、いわば素材です。
これが腐っていたら話になりません。

次に「登場人物」。
魅力的なキャラクター、同感出来るキャラクターがいないと話に入り込めません。
料理で例えるなら調味料です。

最後に「展開」。
実はこれ、結構大切なんです。
設定や登場人物を活かすも殺すも展開次第です。
良い設定を思い付いたとして、そこに至るまでの経緯に「無理がない」ことが重要なのです。
この「展開」が悪い為に駄作になってしまった作品の何と多いことか。
不快な「何で?」を感じる回数の少ない話は間違いなく面白い話です。

まして、挙げた3つの条件は「面白い話」の条件です。
「面白い映画」には更に演出、音楽、演技力、編集などの条件が増えるのです。
そりゃね、面白い映画が少ない訳ですよ。

では「13/ザメッティ」はどうか?

設定は前記した通り、面白いと思います。
ただ、設定に掘り下げが無いのでシーンだけで完結してしまっています。
ゲーム参加者が円になって前の人間に銃を当てる。
「複数ロシアンルーレット」という設定が活かされているのはこのシーンだけ。
運営している組織についても、ゲーム内容の詳細についても説明なし。
明かされていません。
確かにゲーム一回目はドキドキしました。
でも、修理後雇い主と少しやり取りした後直ぐに二回目のゲームが始まります。


これ、最後の一人になるまで続くのか?


見ててそんな考えが浮かびます。
しかし、だとすると主人公が直ぐ死ぬわけない…という考えも浮かぶので、途端にドキドキは無くなります。
(実際には最後の一人になるまでではなかったのですが、何にせよ案の定主人公は生き残ります。)

正に「円になってのロシアンルーレット」という画を撮りたいがために作った作品のように感じられるのですよ。
この映画を漫画の「カイジ」に似ていると評する人もいるようですが、オイラは違うと思います。
カイジは絶望的な状況から足掻き、苦しみ、考え、策を練る駆け引き的面白さと、人間が確実に持っている負の感情に対して真正面から向き合う潔さが、テーマだと思っています。
残念ながらこの映画にそこまでの掘り下げはありません。
(ゲームが完全に運否天賦である、という違いではないのです。)

次に登場人物。
 
オイラ思うんだけどね、
 

この映画の登場人物って、
 

何で、

 
 
あんなに暗いの?Σ( ̄ロ ̄lll)
 
 

フランス映画はあまり見ないが、印象はどれも同じような感じだったなぁ・・・。
言葉がそんな風に聞こえるから仕方ないのか?
常にかったるそうなシャベリに聞こえる。
主人公のセバスチャンなんてほとんど出ずっぱりなのに、全然しゃべらん。
暗くて、ボーッとしていて何考えているかも分からん。
あんなにしゃべらない主人公って、
 


シュワちゃん以来じゃない?
 


かといって存在感があるわけでなく。
役者陣は全体的に薄味でしたね。
 
で、
ここでも人物の掘り下げができてない。
主人公のセバスチャンが実はあんなに家族思いだなんて思いませんでしたよ。
”他人宛てに届いたチケット”をパクッたのも、全ては家族の為だったんですね。
まぁ前半でそれが読み取れるとすれば、食卓で妹だかなんだかにほほ笑むシーンがありますが、そこくらいです。
親父さんや兄貴の身体の心配もしますが、家族なら当たり前のレベルです。
自分の命を賭けてまで家族の幸せを考えるほど「家族思い」である描写がないので、セバスチャンという人物に感情移入できません。
「大金」に対するセバスチャンの動機がイマイチ分からんのです。
だからいざゲームが始まっても?と思ってしまう。
その他の脇役の掘り下げもそう。
ゲーム中のライバルになる人物や、太った人。
胴元のヤクザ(?)。
ゲーム主催の組織。
警察。
家族。
もう少し人物に厚みがあれば面白い話になったろうに・・・。
人物の掘り下げが出来てたのって意外にセバスチャンに家の改装をお願いしたヤク中のおっさんなんですよね。
 


すぐ死ぬけど。(  ̄д ̄;)ノ


 
ある意味、主人公のセバスチャンより掘り下げられてます(笑)


最後に「展開」。

この映画が凄く「おしい」のはこれです。
展開さえ練り直していれば面白い映画になったろうに。
上演時間93分。

短い・・・。
あまりに短い。
頑張ってもう30分ほど長く出来んかったか?

勿論「長ければ良い」と言っているわけではありません。
作品には適切な長さというのがありますから。
でも、掘り下げようと思えば時間が長くなってしまうのは当然です。
「長いとダレる。」という人がいるかもしれませんが、でも、そんなことはありません。
映画の前半はお客様に集中力があるので時代背景・人物描写・関係性などを説明することが可能です。
ここで登場人物の「動機」を説明し、お客様に感情移入してもらえれば、その後が長くても問題ありません。
(ここで言う「長くても」というのは、必要最低限の内容を盛り込んだら”結果長くなってしまった”ということです。)
お客様に感情移入してもらう為には「動機の説明」は絶対条件なのです。
前半のセバスチャンの人物像を見せる「展開」に掘り下げが必要だった、とオイラは思います。
まぁ、頼まれたら「嫌」と言えない人の良さは描かれてますけどね。
 
 
いや、返す返す「おしい」映画でした。


13/ザメッティ
時間:93分
出演:ギオルギ・バブルアニ、オーレリアン・ルコワン,
監督:ゲラ・バブルアニ

コメント

お久しぶりです。
おはようございます!
去年から見学行こう行こうと思っていたのですが、色々とありまして、長引いてしまいました。
船橋やっぱり遠いですね。。
今、目の調子が悪くて、それが治ったら行けると思うのですが、何ヶ月かかるか分かりません…。
前より、もっとお芝居に興味が湧いてきて、
どこでもドアがあるのなら今すぐ行きたいぐらいです。(笑)
とにかく芝居をしてみたい!という気持ちは本当にあるのです。
今日はそれを伝えに参りました。
また書き込みしてもいいですか?
また来ます。
2010/05/03 9:02 AM by chika
chikaさん、お久しぶりです。

体調はいかがですか?目の調子が悪いとのこと。
早く回復することを心よりお祈りしています。

芝居をやりたい!という、強い気持ちさえあれば焦ることはありません。むしろ、その気持ちで体調不良を吹き飛ばして下さい!

いつかchikaさんにお会いできるのを、団員一同心より楽しみにしています。

PS.
是非、書き込みお願いします。
このブログ、アクセス数に対してコメント数が直単に少なくて寂しいのです。
2010/05/03 2:25 PM by 演出

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